くすくすと笑いながらそんなことを語ってるけど、その内容は洒落にならないものばかりで。
視線が自然と下に落ち、心臓が痛いほどに加速し始める。
…………ナメてた。
いや、ナメてた、って言葉で片付けて良いのかも分からないくらい、私は彼の立場について何もわかっていなかったんだと思う。
親バカ総長に甘やかされてるから、危ない世界の人間といえど、贅沢で安全な暮らしを送ってきたのかな……なんて、お気楽な想像をしてしまっていたけれど。
むしろ、総長が息子を溺愛してるって噂が流れているからこそ──
権力を狙う人間たちが真っ先に見るのは、いつだって霞の方で。
愛されることは盾にもなるけど、同時に、自分の額に標的を貼り付けて生きることと同じだったんだ。
凄惨な過去に言葉を失う私。
その隣で、霞はさらりと肩をすくめた。
「けど、ま、お前のは許す。痛くねぇし、むしろ振り回されまくってけっこー楽しい」
そのまま、ゆっくりと私の顔を覗き込んで。
「──自分がどこまでズブズブになれんのか、ちょっと興味あるくらい」
さら、と揺れる前髪の下、妖しく目を細めた。
