さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「何か」

「今の誰」

「友達ですけど」

「男?」

「はい」

「随分楽しそうだったな」


言いながら、ドサッ、と当然のように隣に腰掛けてくる霞。

ふわ、と至近距離で甘く匂い立つ香水の香りに、思わず肩に力が入った。


圧が……圧がすごい。

パーソナルスペースというものを知らなそうなんだよな、この人。

しかも、今日は何かいつにも増してオーラがドス黒い。

ご機嫌斜め……?
もしかして、通話相手に嫉妬してる?


内心焦りながらも、私はポーカーフェイスを保ったまま話題を切り替える。


「……先輩は?何してたんですか」

「さっきまで京と一緒にいたけど、千歳のとこ行ってくるって言ったら先帰るって」


その言葉に、私は一瞬息を呑んだ。


──おかしい。

いつもの京なら、意地でもくっついてきてスキンシップ警察を始めるところなのに。


あの京がわざわざ二人きりにさせるってことは──

おそらく、ここが『正念場』ってことだ。