さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



さぁっ、と足元に全身の血が落ちる。


ちょ……っと待って、いつから聞かれてた?

てっきり誰もいないと思って、わりと際どい会話を垂れ流してた気がするんだけど……。


自分の詰めの甘さに頭を抱えたくなっていると、電話越しから怪訝そうな声が飛んでくる。


『誰』

「……友達。一旦切っていい?」

『え』

「またかけるから」

『…………うん』


死ぬほど不本意そうな遥風の声を最後に、ぷつり、と通話を終了する。

そして再び入り口方向に視線を向けると、彼はゆったりとドア枠から身を起こし、こちらに歩いてきていた。


怖すぎる。


さっきまで落ち着いていたはずの鼓動が嘘みたいに、またバクバクと早鐘を打ち始めて。

それを必死に押し隠しながら、私はニコッと口元に笑みを貼り付けた。