桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

5. 新しい未来へ
   風が吹き抜け、桜の葉が舞い落ちる。
「俺たちは、また一緒に歩けるのかな?」
 将貴が、静かに言う。
「歩けるよ。」
 智香は微笑んだ。
「私たちは、もう過去に囚われない。」
「……。」
「達也のことを、忘れないまま。でも、それでも前に進む。」
 将貴は、ゆっくりと智香の手を取った。
「……そうだな。」
 彼らは、新しい一歩を踏み出した。
 10年の時を経て——。
(第12章・終)