桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

3. 10年越しの想い
  「俺は、10年前……お前のことが好きだった。」
 その言葉に、智香の目が大きく見開かれる。
「……え?」
 将貴は、静かに微笑む。
「俺は、ずっとお前に気持ちを伝えられなかった。達也のことがあったから。」
「……。」
「お前が達也に好意を持っていたこと、知ってたよ。」
 智香の心臓が高鳴る。
「だから、言えなかった。」
 将貴の目が、真っ直ぐに彼女を見ていた。
「でも、今なら言える。……俺は、お前のことが好きだった。」
 10年間、ずっと心に閉じ込めていた想い。
 それが、今ようやく言葉になった。