桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

2. 先生の願い
   彼らは、息をのんだ。
「……最後のお願い?」
 美耶が、おそるおそる尋ねる。
 先生はゆっくりと頷いた。
「……私がいなくなったら、お前たちには"ある場所"へ行ってほしい。」
「ある場所?」
「そうだ。」
 先生は、病室の横に置いてあったノートを指差した。
「そこには、お前たちが本当に戻るべき場所がある。」
 将貴がノートを手に取り、ページをめくると、ある地名が書かれていた。
 「桜ノ丘」
「……桜ノ丘?」
 基翔が首を傾げる。
「そこに、何があるんですか?」
 先生は、穏やかな目をして答えた。
「達也が、最後に行きたがっていた場所だ。」