桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

3. 誰も悪くなかったのか?
   彼らは、10年間誰かを責め続けた。
 それは、自分たちの痛みを和らげるためだったのかもしれない。
「……俺たちは、"誰かが悪いはずだ"って思いたかったんだよな。」
 将貴が静かに言う。
「そうすれば、少しは楽になれると思ってた。でも、実際は違った。」
 智香は、手のひらをぎゅっと握る。
「……私たちは、ただ、誰かを"悪者"にすることでしか、事故を受け入れられなかったんだよ。」
「でも、結局誰も悪くなかった。」
 基翔が静かに言う。
「だとしたら……俺たちの10年間は、なんだったんだろうな。」