桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

2. 思い出の教室
   校舎の廊下を歩くと、昔の記憶が次々と蘇ってきた。
 3年B組——彼らが最後に過ごした教室。
 扉を開けると、中は当時とほとんど変わっていなかった。
 黒板の横には相変わらずスピーカーが設置され、壁には文化祭の写真が貼られている。
 智香は、その写真の中に達也の姿を見つけ、思わず立ち止まった。
「……達也、ここにいたんだね。」
「今も、俺たちを見てるのかな。」
 純鈴が写真を見つめながら呟く。
 彼らは、それぞれの席に自然と座った。
 10年前、そこに座っていたはずの自分たちを重ねるように。
「俺たち、あの日まで、こんなに普通に笑ってたんだな。」
 基翔が感慨深そうに言う。
「でも、その笑顔が、一瞬で消えた。」
 泰亮の言葉に、教室の空気が一気に重くなる。
 10年前、彼らはここで"ある出来事"を経験した。
 それが、彼らの関係を引き裂くきっかけとなったもの——。