桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

5. それぞれの決意
   翌朝、彼らはホテルのロビーで再び顔を合わせた。
 将貴、智香、泰亮、基翔、真、純鈴、太一朗、美耶——。
 誰もが、一晩で考え、悩み、苦しみ、そして決意を固めていた。
「……俺たち、やっぱり、もう一度ちゃんと話すべきだよな。」
 泰亮が言った。
「先生が言ってたこと、無駄にしたくない。」
「私も、そう思う。」
 智香が静かに頷いた。
「だから、まずは……もう一度、あの場所に行かない?」
「……あの場所?」
「体育館。事故が起きた、あの場所に。」
 彼女の提案に、誰もが息をのんだ。
 ——あの場所に行く。
 それは、彼らにとって最大の試練だった。
 しかし、今の彼らには、それが必要だった。
「……わかった。行こう。」
 将貴の言葉に、全員が頷いた。
 彼らは、10年前の自分たちと向き合うために、再び母校へと向かうことを決意するのだった。
(第5章・終)