桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

6. 受け止めるべき真実
 
「俺たちは……間違ってたんだ。」
 将貴が、かすれた声で呟いた。
「ずっと、誰かを責めることしか考えていなかった。でも、本当は……。」
「俺たち、何もわかってなかったんだな。」
 泰亮もまた、顔を伏せた。
「……達也を責めるつもりはない。でも、知ることは必要だったんだ。」
 智香の声は震えていた。
 10年かけてようやく知ることになった、事故の真実。
 それを、彼らはどう受け止めるべきなのか。
「……これから、どうすればいいんだろう。」
 美耶の言葉に、誰もが沈黙した。
 そして、村瀬先生は微笑んだ。
「お前たちは、これから、それを考える時間がある。」
「過去をどうするか決めるのは、私ではない。……お前たち自身だ。」
 彼らは、初めて本当の意味で、過去と向き合うことになったのだった。
(第4章・終)