桜ノ丘の約束-10年前の後悔-

1. 再び病室へ
 
 彼らは病院の廊下を歩いていた。
 誰もが重い空気をまといながら、足を進める。
 病室の扉の前で立ち止まり、深呼吸をする者もいた。
「……行くぞ。」
 泰亮が、意を決したようにノックをする。
「先生、俺たち、また来ました。」
 しばらくの沈黙の後、病室の中からかすかな声が聞こえた。
「……入ってきなさい。」
 その声は、どこか弱々しく、それでも確かに彼らを呼んでいた。