君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

先生とランドに行けるなんて夢みたい。
ほんとは陽菜も誘って朝から晩まで遊び尽くしたいと思うけど、今日も快晴とは言えない曇りの日だったし。
予行練習ってことにして、いつか陽菜とも行けたらいいな。

「あとは奏とも……」

なんて、都合よすぎかな。
いちばんお気に入りの服を選んで、着替えを持ってそのまま浴室へ。
リビングからはテレビの音が聞こえた。
多分、適当にアキ先生がつけたんだろう。
そしてシャワーを浴びて、着替えた。

「お待たせしました!」
「お。可愛いじゃん。そんな気合いの入ったさゆは初めて見たな」
「だって病院に気合い入れて行く人はいないもん。そんなことより先生、急ごうっ」
「はいはい」

車に乗ると、直ぐに出発した。
高速に乗って2時間くらいで、ランドに到着した。
アキ先生が待ってる間にチケット取ってくれたみたいで、スマホをかざしただけですぐに入れた。

初めて来たランドは夢の国って言われるだけあって、キラキラしてた。
飾りとかもそうだけど、その場にいる人たちみんなが楽しそうで、笑顔に溢れてて幸せを絵で書いたみたい。

「ほらもうすぐ七夕だから、笹の葉置いてあるぞ。さゆ、何か書く?」
「うんっ。せっかくだから書こうかな」

先生が渡してくれた短冊に私は願い事を書いた。
先生も真剣な横顔で何かを書き込んでいた。

「書けたか?」
「うん。先生は?」
「書けたよ」
「見せて」

予測してたみたいにあっさりと先生は短冊を見せてくれた。

”さゆが長生きできますように”

とそこには書いてあった。

「ぷっなにこれ、私おばあちゃんみたいじゃん」
「医者としては定番だろ? さゆのも見せて」

先生のを見たんだから、私のを手渡さないわけにはいかない。

”みんなが健康で幸せに暮らせますように”

「おい、さゆも大概老人ぽいぞ」
「なんてー!」

私は先生をボコボコ叩いた。
先生は嬉しそうに笑ったあと、ちょっと真面目な顔をして言った。

「この”みんな”の中にちゃんと自分もカウントしとけよ」

だから、私は曖昧に笑い返した。
先生は鋭い。そして私に希望を持たせてくれる。
ありもないしない希望、願ってもいない願い。
それでも少しだけ、胸の奥がぎゅっと痛くなる。