君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

目が覚めると、蛍光灯に白い天井があった。
知ってる消毒液匂い、あぁ、ここは病院だ。
すると、アキ先生がこっちの様子を見に来た。

「……目が覚めたか?」
「アキ先生……」
「今、夜中の3時。びしょ濡れで心雑音も聞こえたから、念の為病院に連れてきた。食事も全然取れてないし、栄養剤も点滴してる。このまま眠れそうなら朝まで眠って」
「はい……すごく眠くて」
「もう大丈夫、俺がみてるから安心して寝ろ」
「アキ、先生……?」
「何だ?」

その後に続いた言葉がちゃんと言えてたのか自信が無い。
だけど、手を伸ばしてどうか先生へ届くようにと願ってた。

「好き……」

そこでまた意識は途切れた。
先生の返事は聞こえなかった。

そして、朝日が昇り。
眩しさで目が覚めると、近くのソファにアキ先生が寝ていた。
いつの間にか点滴も抜けたようで、ゆっくりと体を起こす。

「アキ先生」

体をゆさゆさ揺らしてみる。
ちょっとだけ眉間にシワが寄ったけど、全然目が覚めない。

「アキ先生ってば!」

すると、先生は寝ぼけたようになにか呟いた。
よく聞こえない。

「ん? 先生、なに?」
「ーーα世界線の修復を実行。βの崩壊は覚悟の上です。許可を」

アキ先生からよく分からない言葉が聞こえた。
冷たくて、知らない声。
なにか、怖い夢でも見てるんだろうか。
なら早く起こしてあげないと。

「先生、先生!」
「代償として自己の時空間コントロールシステムも破壊ーーこの世界には戻れないことは承知の上です。許可を」

アキ先生はさっきから何を言ってるの?
呆然として手を離したところで、やっと先生が目を覚ました。

「ん〜。さゆ、おはよ。体はもういいのか」
「は、はい。私は平気。でも先生、いま世界線がどうのとか寝言を言ってたよ? 大丈夫?」
「ハハ、なんかSFっぽい夢見たんだ」

そっか。
なんだそれと思いつつも、いつも通りに笑う先生を見てた。