君を思うと、胸がぎゅっと痛くて

リビングに入ると、お母さんはなんかプリプリとして機嫌が悪そうだった。
大体理由は分かってるけど。

「おはよ」
「おはよう。さゆ、昨日お母さん病院に呼ばれて東条先生から説明聞いて、薬受けとったわよ」
「うん」
「中学に入ったら病院は1人で大丈夫って言ってたから信じてたのにどういうこと?」
「ちゃんと行ってたよ。最初は」
「最初はって。治る病気じゃないんだからずっと行かなきゃダメじゃない」
「……」

あーあ、まただって思う。
”治る病気じゃない”
家族ってさ、平気で心をえぐってくるよね。
気遣いとかないの?

「とにかくこれ、薬はちゃんと飲みなさい。お母さんもう仕事に行くから」
「気を付けてね」
「お願いだから、もう先生に迷惑のないようにしてね」

お母さんからドン、と袋に入った薬を手渡される。
これ何ヶ月分?
アキ先生、重すぎだよ。
スーツを着てバッチリ決めたお母さんは玄関を空けて出ていく。
因みにお母さんの仕事は弁護士。
バリバリのキャリアウーマンだ。