(架空)執事と私

執事(お嬢様は、箱入り娘だった。

でも、その箱がなくなったら……。

”春菊って高いのね。それより、こっちのほうがいいかな”

”早く支払わないと、止められちゃう”

もう、彼女は、資産家の娘、屋敷で暮らすお嬢様ではなかった。

小さな部屋で、一人。

ときどき僕と話をしたあと、

”これ、今月の”と、僕に封筒を差し出す。

それが僕へのお給料だとわかっていた。

僕は、彼女が部屋に戻ったあと、封筒からお金を抜き取り、
靴箱の上にそれを置いて帰った。

次の月も、僕は封筒を受け取り、玄関の上に残して帰った)