(架空)執事と私

執事(彼女は、お嬢様と僕に、何かあるんじゃないかと疑っていた。

”その人、あなたにとってなんなの?

”なんで? 一生面倒見るつもりじゃないよね”

「違うよ。だから、昔、雇ってもらって……」

”わからないよ。なんでそこまでするの?”

何回言っても、疑いは晴れなかった。僕なりに言葉を尽くしたけど、誤解を解けないまま、彼女とは別れた)




執事(まだ、僕とお嬢様が出会ったばかりの頃。

スーツを買いに行った。

「どこに行く? 銀座とか」

「それはやめましょう!」

「んー、じゃあ、どこに行けばいいの?」

この人は、ユニクロやイオンを知らないのか?

選んだのも、支払いを済ませたのも、お嬢様。カードで、あっという間に終わる。スーツの値段は、けっこう高かったのに。

”すごい、似合う! かっこいい! やっぱり、黒が似合うね、前田さん”

ほめられて、悪い気はしなかった。

それから、お嬢様の家で着るのは、制服のようにそのスーツになった)