いきたい僕ら

「……仮に今の話が事実だとして、その、『外なる神のメッセンジャー』?はどうして君たちを助けたの?」

それは……本当のところはわからない。

でも多分……。

「多分、1回分、余ってたんだと思います。」

「余ってた?」

最初から説明した方がわかりやすいだろう。

「……1年前の『イーグルサイト』の実験室であったことはどのくらい知っていますか?」

あのとき、僕はおかしかったから、何をどこまで話したのかあまり覚えてないけど、多分変な神に会ったことは伝えてるはずだ。

「さぁ……あまり詳しくは聞いていないけど、奇妙な魔法陣があったって言っていたね?」

全然伝えてなかったっぽい。

「はい。あの大部屋にあったのと同じものです。まぁ魔法陣自体は今は関係なくて、僕あのとき……」

僕の言葉に、蒼さんが驚いたように声を上げた。

「大部屋にあった?あの部屋に魔法陣らしきものはなかったと思うよ?」

その言葉に僕もびっくりした。

「え?僕たちが見つかった部屋ですよ?梨杜さんも見ましたよね?床に六芒星と燃える目のような模様があったの。」

いくら急いでいたとはいえ、あの大きさの模様を見落とすことなんてあり得ない。

逆に幻覚だなんてことも、考えにくい。

僕も、焦って梨杜さんに話を振った。

「そういえば……」

梨杜さんは腕を組んで考えていた。

「……律樹と一緒に入った時には確かにあった。背筋が凍えるような感覚がしたのを覚えてる。だけど羽澄に起こされたときはなかったかもしれない……。」

「消えた……?そんなことが……。」

「ありえる……。」

僕は羽澄さんが来たことを知らない。

てことは、僕が気絶したあと、あの白い空間に行ったあとの話だ。

あのときも、今回も、そのあとに魔法陣は消えてる。

他に共通点は?

「……死んでる。」

僕が、八神を殺してる。

あの魔法陣の上で。

頭が痛くなってくる。

まるで理解したくない、理解してはいけないと言うように。

「……?律樹くん?」

八神が死ぬとあの空間に行って魔法陣が消える?

いや、多分誰でもいいんだ。

あの魔法陣を描いたのは八神。

だから何をすればどうなるかなんて知っていたはず。

「律樹くん、大丈夫?顔真っ青だよ?」

その八神が、最初はレンを刺そうとしていた。

つまり大事なのは誰を殺すかでも、誰が殺すかでもなくて、あの魔法陣の上で、人が死ぬこと。

その行為自体がトリガーとなって、神が出てくるんだ。

じゃあ、この間出てきたのは、その場で呼び出したもの?

てことは……?

「まだ、ある……?」

『……正解。』