メカニカルな彼らに囲まれています

「へぇ〜。あーんとかもやってた?」

「やってた。わざと鼻にクリームを付けて取ってもらったり、とかも」


ラブラブのアツアツだった様子。

全然想像つかないけど、ちゃんとカップルみたいなこと経験してたんだな。


「最近はどんな感じなんだ?」

「さすがにあーんはしないけど、たまに映画は観てるよ。誕生日も、1人だけ高そうなケーキ買ってもらってる」

「そうか。だいぶ落ち着いたか」


熱は引いたものの、今も変わらず仲良しだとわかると、ホッとした表情を見せた。


元々このエアコンは、リビングにあったもの。

小4に上がるタイミングで自分の部屋で寝ることになって、譲ってもらったのだ。


この家には幼稚園に入る前に引っ越してきたけれど、フウリさんの話を聞く限り、前の家でもリビングに設置されていたみたい。


遠い過去の記憶を思い出していると、ブーッブーッとスマホが振動し始めた。

手を伸ばして画面を見てみたら、若菜からの着信だった。


「はい、もしもし」

【もしもし、心? 今大丈夫?】

「大丈夫。どうしたの?」