メカニカルな彼らに囲まれています

せめて9時だよね。でも、スマホが使えないんじゃあ何もやることないしな……。


「じゃあ眠気が来るまで昔話でもするか」


パッと顔を上げると、フウリさんがベッドに腰かけて……いや、入っている……?


「え、ちょっ、添い寝するの?」

「なんだ、嫌か?」

「いえいえ全然! どうぞどうぞ!」


枕を横にずらしてスペースを空ける。


昼間はあんなに厳しかったのに。まさか一緒に寝てくれるなんて。

嬉しいけど、一対一での会話は初めてだから、ちょっと緊張する。


ベッドに入って羽毛布団を首までかけると、フウリさんが電気のスイッチを押した。

温かみのあるオレンジ色の光が部屋全体を照らす。


「フウリさんは、人間でいうと高校生の年なんだよね? 新井家にはいつ来たの?」

「15年くらい前だな。まだ心が生まれる前だったから」

「お父さんとお母さんは、どんな感じだった?」

「ラブラブだったぞ。昔はよく一緒に映画を観たり、お互いの誕生日にプレゼントをあげたり、手料理を振る舞っていた」