──ピピピ、ピピピ。


日帰り旅行から数日後の、水曜日の朝。

ベッドに横たわったまま、脇に挟んだ体温計を外した。


「何度だった?」

「……7度、3分」

「7度? そんな顔真っ赤なのに37はないでしょう。本当は何度なの?」

「…………8度3分です」


母の鋭い眼差しに負け、体温計を見せた。


「昨日よりだいぶ上がってるわねー」

「……病院、行かなきゃダメ?」

「そうね。微熱なら様子見でもいいけど、8度超えてるなら1度診てもらったほうが学校側も安心するだろうし。今日は休みなさい」

「………はい」


そう言い残すと、母はサイドテーブルに朝食を置いて出ていった。


バレンタインデー目前、体調を崩してしまった。

いや、昨日から不調だったから、悪化したと言うほうが適切かな。