メカニカルな彼らに囲まれています

冷静な声色で返答するここちゃんの隣で、甘い香りをめいいっぱい吸い込む。


季節ものやイベントに関連した商品が売られる、催し物売り場。

前回訪れた際も甘い香りが漂っていたが、今回は濃厚さがプラスされてより強くなっている。


中に入り、匂いを嗅ぎながらショーケースのチョコレートを眺めていると、「心〜っ」とご主人様を呼ぶ声が。


「若菜! 来てたんだ! 買い物?」

「うんっ。自分用と交換用にチョコを買いに」

「私も!」


昨日ぶりの再会にキャッキャとはしゃぐ2人。

その横では、若菜ちゃんの両親らしき男女2人組が新井夫婦に挨拶している。


若菜ちゃんの両親は、娘がバレンタインデーに告白することを知っているのかな。

母親ならそれとなく教えてる可能性もなくはなさそうだけど、父親は……。


まぁまぁまぁ、伝えないという選択も一種の心遣いだよな。ショックで仕事中上の空になっちゃったら大変だもの。