メカニカルな彼らに囲まれています

静かに寝息を立てる彼女に視線を戻し、ティッシュを1枚取ってよだれを拭う。


ここちゃんこと、新井 心ちゃん。

新井家の長女で、孫の中では年上組でありながらも、ちょっぴりズボラな性格で、推し活が趣味のイマドキの女の子。

そんな彼女とは、今から2年前の春に出会った。


『わぁ〜! 綺麗〜!』


箱の蓋が開けられて真っ先に目に飛び込んできた、満面の笑顔。

俺を箱から出した後も、起動した後も、ずっと瞳をキラキラさせていて。

その日が日曜日だったというのもあって、食事にお風呂にトイレに……寝る寸前まで一緒だった。


当時はキーボード操作もままならない初心者で、誤タップするたびに慌ててたっけ。毎日何かしらの広告に飛んでいた気がする。

それが今や、目を瞑ってフリック入力できるくらいに成長して……拙かったあの頃が懐かしいな。


「毎朝寝顔を盗み見されていると知ったら、悶絶するだろうな」

「大丈夫。起きる前に寝た振りしてるから」