ケイSide


俺たち機器の1日は、ご主人様の行動で始まり、ご主人様の行動で終わる。


朝日が町を照らし始めた、午前7時過ぎ。

全身にまとわりついている白い煙を振り払って、ベッド脇のサイドテーブルに肘をつく。


すると、部屋の上部でボン! と再び化ける音が響いた。


「あ、おはようフウくん」

「おはよう……また見てるのか」

「愛しいご主人様の寝顔だよ? 何回見ても飽きないよ。フウくんも見る? よだれ垂れててめちゃ可愛いよ」

「いいよ、もう何千回と見てるから」


あくびをしながらサラリと古参アピールをしたフウくん。


新井家歴は15年と、この部屋の家電の中では最年長。

髪の毛が真っ白なのはエアコンのボディカラーが白だからというだけで、決して老けているというわけではない。