メカニカルな彼らに囲まれています

箱入りお菓子を手に持ったまま電話をかけ始めた寿音と、試食を楽しむ若菜。


試食があると食べてみたくなるよね。特にご当地限定だとつい手が伸びちゃう。

私もさっき煎餅を食べたけど、食べ物系はお母さんに任せて。私は実用的なものを見よう。


お菓子売り場から雑貨売り場に移動。

陳列棚を見ていると、赤いシュシュが目に留まった。


ちりめん素材の花柄。和の雰囲気を感じるけど、色味がシンプルだから普段着でも合わせやすそう。


「……買わないの?」

「……買っても、どうせ髪切るし。使わなかったら無駄遣いになっちゃうから」


手に取るも、そっと棚に戻した。


『物は使ってこそ。使う気がないなら最初から買わない』


お小遣いをもらい始めた小学生の頃から、お母さんに口酸っぱく言われてきた言葉。

物欲が湧いたときに心の中で何度も唱えては衝動を抑えてきた。