意識が戻ると、私はベッドの上で仰向けになっていた。

念のため部屋中を確認してみても、人の気配はなく。謎の金髪美少年は姿を消していた。


だよね。スマホが人間になるなんてありえないよね。

お母さんが言ってたように、推しへの愛が強すぎて、夢とごちゃ混ぜになってたんだ。


時計を見たら8時を過ぎていた。2時間近く眠っていたらしい。

初日の出を拝めなかったのは残念だったけど、何日も眠ったまま、なんてことにはならなくて良かった。


着替えて母お手製のお雑煮を味わい、少し宿題をした後、午後から家族全員で初詣でへ。

現在、参拝するために参道に並んでいるのだけれど……。


「あー、さむっ。手カチンコチンなんだけど」

「……」

「いいなー、みんなあったかそうな服着て。俺もダウンコート欲しいなー」

「……」

「ってかさ、みんな同じ色だよな。たまーに茶色の人いるけど、9割が黒と紺って。無難で合わせやすいのはわかるけどさ、もっと他にあるでしょう。白とかベージュとか金色とか」

「……金色は売ってないと思うよ」