メカニカルな彼らに囲まれています

肩を揺らして笑っている。


ずっと……? ベッドの下に隠れてたとか?

でも、頭が入るほど隙間空いてないし。

クローゼットも、一昨日掃除したばかり。人がいた形跡はなかった。


会話ができているのと感触があったことから、お化けではないとは思う。


「まぁ、難しいか。似ても似つかないくらい変わってるし」


ベッドから下りた彼が私の前に立った。

私の目線に合わせてかがむと、目を細めて微笑んで……。


「俺はケイ。君が愛してやまないスマホだよ」

「スマホ……?」

「そう。この家には2年前の春からお世話になってる。ここ、時間と電池が映ってるでしょ?」


前髪をかき上げて自身の額を指差した彼。

左側には06:10、右側には74%と数字が書かれて……いや、点滅してる。


顔が青ざめていくのを感じながらも枕元を見てみるけれど、何もなく。ベッド周りの床も、あるのはサイドテーブルと服の山だけ。


「う、そ、でしょ……っ」

「嘘じゃないよ。ほら」


緩やかに口角を上げた彼が私の手を取った。

手の甲にじんわりと広がる温かさ。

現実を目の当たりにしたその瞬間、視界が真っ暗になり、床に倒れ込んだ。