寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「うちら帰り道反対だからカンちゃん1人だけど本当にいい?大丈夫??」

「うん、大丈夫」

「また大丈夫って言った!」

「この大丈夫はほんとに大丈夫だからいいよ、マーリー!」

帰るだけだから。
今気分いいし、サーっと家まで行けちゃいそうな気がしてるんだよね。

ばいばいって手を振って歩き出した。

ちょっと寒いけどいやまぁまぁ寒いけどそれなりに寒いけど…!


さむっ 

てゆーか風冷たすぎない?


本格的冬…!!!


でも1人で帰れなくもないしね。

最悪じんましん出ても家ならあっためればいいだけだし、だから1人でも平気…っ


「遅せぇよ」


と、思ってたんだけどなぁ。

「早く帰るぞ」

「…暖」

校門から出て少し過ぎたところ、今日も来てくれた。

「…来ないかと思った」

「なんでだよ」

「だって…」

俯いたわたしの手までスッと手を伸ばして、ぎゅっと握る。

その瞬間ポカッと手から体中に熱がめぐる。

あったかい、やっぱり暖がいるとあったかくて強く手を握り返したくなっちゃう。

でもそんなことできなくてただ繋がれた手を見るだけしかできなくて。

暖が歩き始めるから、手を引かれて一緒に歩き出した。