寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

マーリーがごそごそと制服のスカートのポケットから取り出した。

「これカンちゃんの分!」

「わたしの…?」

「星の観察一緒にできなかったから、一緒に見れなかったから」

「3人でおそろいの星座のキーホルダーだよ」

じゃんっと取り出したつぐみんが見せてくれて、マーリーも同じように取り出した。丸い形のぷくっとした樹脂の中には星座がキラッと光ってる。

「かわいい…」

「かわいいよね~、みんなの誕生日の星座だよ!」

それぞれの星座が並んで、手のひらの上で光ってる。これがあの日一緒に見られなかった星たち、なのかな。

「つまりは!」

つぐみんがパンッと手を合わせた。

「冬でもあそびたいってことね!あるじゃん、冬もできること」

ずっと諦めてた、できないことは見ないようにして来た。

「だからどこもいけないって顔しないでよ」

そんなこと言えないって、わたしにとっての冬はただ早く終わらないかなって祈るばかりだった。

「つぐみん、マーリー…」

ポカッて心があったかくなる。

なんにもできないことなんかないよ、すごくあったかいよ。

わたしまで泣いちゃいそうだよ。 

「うちら友達じゃん!ね、つぐみん!」

「うん、あたりまえじゃん」

“カンちゃん1人で平気?”

1人で平気じゃなかった。

でも1人じゃなかったんだ、わたし。

「これホッカイロ使って!」