寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

そうになったところで緋太さんが手を止めた。ピクッてかすかに揺れた私の手に気付いたから。

「無理はしたらダメですよ?」

少しかがんでわたしと視線を合わせ、にこやかに微笑む。

「緋太さん…」

ポワッとさらに熱を帯びた。

「ごめんなさい、またわたし…」

本当は痛くてかゆかった手を早くあたためたかった、そうしないとどんどん冷たくなっていくのに。

「緋太さんに迷惑かけちゃって…」

1人で眠ることもできなければ1人で学校へ行くこともできない。

なんでかな?

どうしてわたしはこうなんだろう。

もっとちゃんとしなきゃ、マーリーたちにあんな顔させないように…

「誰も迷惑なんて思ってませんよ」

俯いたわたしを緋太さんが覗き込む。
ねっ、てやさしく微笑んでポワッと熱を上げて。

「むしろありがたいですね」

「ありがたい…?」

大人っぽくて余裕のある緋太さんは話す声もトーンも落ち着いていて。

「会いに来てくださることが嬉しいですから」

そんな風に真っ直ぐ言えることがすごいなぁって思ったり。

だってわたしの目を見て逸らさないから、しっかりわたしを見てくれるから。

「1人占め出来ますから、柑乃さんのこと」