寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

静かに保健室のドアを開けた。

まだ朝だし、たぶん誰も来てないと思う…
てゆーか保健の先生すら来てない可能性もある。

でもその方がいいかって思っちゃったり、だってそしたら…

「柑乃さん!おはようございます」

会える気がしたから、緋太さんに。

「…おはようございます」

保健室に入ったら出て来てくれた、にこって微笑んで出迎えてくれた。その微笑みがなんとなく見たくなっちゃって。

「どうされたんですか!大丈夫ですか!?」

緋太さんもすぐにわたしの手に気が付いた。ここに来るまでにひどくなっちゃって手の甲から腕までばぁーっとじんましんが広がってたから。

「手、貸してください」

でも緋太さんには隠す必要がなくて。
そっと近づけばポカッとして、それが無性に安心した。

「痛くないですか?」

「…うん、大丈夫です」

「かゆいですよね」

「…少し」

冷え切った手はかじかんで、上手く動かすこともできなくて。

だけど緋太さんがかざした手のひらがあったかったから、涙のせいで赤くなった目がもっと熱くなるみたいに。

「柑乃さん…」

やさしく緋太さんの手が触れ…