寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「え、なに急にどうしたの?」

佐湯くんの方に視線を向ければ大きな瞳と目が合った。

「柑乃ちゃんのところに来た時から柑乃ちゃんのことだいすきだよ」

佐湯くんがうちに来たのは小学校1年生のクリスマス、サンタさんがくれた。

くまのかわいいカバーがすぐに気に入ってその日からずっとそばにいる。
夏の日はちゃんと洗濯して磨いて引き出しの中にしまってる、だから暖より一緒にいる時間は長くて。

「柑乃ちゃんやさしいもん」

「やさしい?わたしが?」

さらにぴとっとくっ付いて来た。

「ぼくすぐお腹すいちゃうから、でもお湯しか飲めないしきっとめんどくさいよね…?」

湯たんぽに使うお湯は沸かしてそのまま入れたらダメで、ちょっと冷まさないとそれこそやけどしちゃうから。

しかもお湯入れるのってちょっと難しいの、昔はママによくやってもらってたけど…それがめんどうでお湯の湯たんぽって今は使う人あんまりいないっぽいんだよね。

でも壊れにくくてずっと使えるのがいいところで。

だから今もずっと佐湯くんといられる。

「こんなぼくにもやさしい柑乃ちゃんだから、ぼく柑乃ちゃんのことだいすき」

ふふって笑う声が耳元で聞こえる、そんなこと言われたらわたしもふふって笑いたくなっちゃって。

「佐湯くんのおかげでいつもぐっすり眠れるんだよ」

佐湯くんがいてくれるから。

あったかくて今日もぐっすりだよ、きっともうすぐ夢の中だよ。