寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「お前くっ付き過ぎるなよ、お湯入れて使うお前は低温やけどっていうのがあるんだからな!」

「くっ付かないとあっためてあげられないもん!暖だってあるじゃん!」

「俺はその辺考えられて一定の温度が保てるようになってるんだよ」

…まだ言ってるんだけど、しかもわりと根本的な問題の話だったのねそれ。

もうそろそろ寝たいんだけどなぁ。
お風呂も入ったし、歯も磨いたし、髪の毛乾かしたし、ふぁーっとあくびが出るほど眠くなって来た。

あと声ね、気を付けてって言ったよね?

「だからっ」

バタ…ッ 

何か言いかけたところで暖が倒れ込んだ。
この展開にも慣れ始め、スースーと暖の寝息が聞こえて来る。

「……。」

電池切れだ、ずっと佐湯くんとワーワー言ってるから電池が切れちゃったんだよ。

「じゃあ柑乃ちゃん、ぼくと寝よっか♡」

ぎゅっと抱きついて、へへへ~っとうれしそうに笑うから子供みたいでかわいい。
わたしよりちっちゃいから、なんとなくそう感じちゃって。

「夜はぼくがあっためてあげるから~!」

ぎゅっと手を引いてベッドまで、上目遣いの佐湯くんがにぱっと笑った。

「大丈夫だよぉ、ぼくがいるもん!柑乃ちゃんはゆーっくり眠ってね~!」

「うん、ありがっ」

「だから任せられねぇってつってんだよ!」