寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

ずっと暖が肩に手を置いている、ポカポカとあたたかい温度が流れて来て体中が熱くなる。

でもそんなことより、ドキドキって心臓が自分でもびっくりするくらい大きく鳴って…

部屋が暗くなかったら、見られてたかもしれない。

こんな顔見せられない、見られたくない。


わたしなんでこんな顔して…っ


「ぼくの方がずっとずーっと柑乃ちゃんのことあたためてたんだよ!」

暖に向かって言おうとした佐湯くんが身を乗り出した。

「柑乃ちゃんがちっちゃい頃からずっとぼくが一緒に寝てたんだよ!」

「佐湯くん…!?」

声が大きい!!!

ママに聞こえちゃうかもっ 

てゆーか誤解されそうな言い方すぎない…!?

「柑乃ちゃんはぼくが守って来たんだよ!」

暗くて佐湯くんの顔もよく見えなかったけど、そんな必死な声で…


佐湯くんどうしたの?


「知るか、そんなの!」

暖はペッと突っ返してたけど。

「暖なんて小学校5年生からじゃん!ぼくはそれより前からずっと柑乃ちゃんと一緒に寝てるの!」

「俺は毎日一緒に学校行ってるけど?お前学校が何か知らないだろ」

「知ってるもん!柑乃ちゃんが毎日行ってるとこだもん!」

それが余計にヒートアップしちゃって、間に挟まれたわたしの頭の上で繰り広げられる言い合いが…


「もうわかったから!ケンカしないでよっ!!」


結局わたしが1番大きな声出しちゃったじゃん、ママにまた何か言われたらどーするのコレ…