寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

頭を抱えたわたしの顔を覗き込む佐湯くんがきょとんとした表情で聞いて来た。


あ…

佐湯くんはそれも知らない、そんな話したことなかったっけ?


「…駅の近くにね、すっごい大きいクリスマスツリーがあるの」

「これより大きいの?」

「大きいよ、こんなの全然小さいよ!」

うちのツリーはわたしより小さいからね。

「わーっ、すごいね!もっと大きいクリスマスツリーがあるんだ~!」

ぱぁーっと目を大きくしてうちのクリスマスツリーを見てる、その感じわたしもよくわかるよ。

たぶんね、わたしもずっとそんな感じだったと思うの。

毎年クリスマスツリーのニュースを聞くたびに。

「一緒に行こ柑乃ちゃん!」

ぎゅっと佐湯くんがくっ付いて来た。
ほわ~っとあったかくて、眠くなっちゃうなぁ佐湯くんの温度は。

「まだ寝るには早ぇーよ」

肩を掴まれぐいっと引き寄せられた、だから暖の胸にとんっと体が当たっちゃって。

「まだ寝なくても柑乃ちゃんあっためてあげるのどこがダメなの??」

「うざい」

「うざくないし!さりげないし!」

「さりげないって思ってるとこがすげぇうざい」