寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

すかさず入り込んで来た、フンッと鼻を鳴らして。

「暖っ!!」

「毎年毎年、柑乃が飾りつけてるところから」

「何マウント取ってんの!?」

なんでここでそんなこと言うかな…
佐湯くんが気にしちゃうでしょわかんないの!?

「あのてっぺんの星付けるのが好きなんだよな~」

「なんで知ってるの!?」

「そうなの柑乃ちゃん!?ごめんね、ぼくがやっちゃったから…やり直す??」

「大丈夫だよ、佐湯くんにやってほしかったからいいいよ!」

暖は…

学校行く時もちょっと外に出る時も、家にいる時もずっと持ち歩いてたから。


そーゆうとこも全部知ってるし、見て来たんだ。

…見られてたんだ。


そう思ったらなんか…!


「柑乃、好きな奴は出来たのかよ?」

名前を呼ばれたから、思わず隣を見たらパチッと目が合っちゃった。そんなこと聞かれると思ってなくて。

「もうすぐクリスマスだろ、駅前のクリスマスツリー終わるぞ」

もう一度、言われると思ってなくて。

「そ、そんな簡単にできないよ!」

ぼんって顔を赤くしちゃった。


あぁぁっムキになって返しちゃった!

今の変だった!?変じゃなかった!?


だって…

何も考えられないんだもん!


あの日の暖のことばっか考えちゃって“好きな人”のことなんか何も…!!


「ねぇねぇ駅前のクリスマスツリーってなぁに?」