寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

タタタッと階段を駆け上がって自分の部屋のドアを開ける、ママは下にいるから…声の大きさには気を付けなきゃ。

「佐湯くん、お湯持って来たよ」

「わーいっ、柑乃ちゃんありがっ」

佐湯くんの口をむぎゅっと手で塞いだ、声が響いたらいけないと思って。

「いーい?ママにバレたら大変だから声の大きさには気を付けてほしいの」

寝ている暖をつんつんしていた佐湯くんの前に少しかがんで。

「わかった?」

「…くひっ」

「あ、ごめん!」

口塞いだままだった、コクンと頷く佐湯くんと目を合わせゆっくり手を離した。

わかってくれたみたいでよかっ

「うわっ」

手を離した瞬間、佐湯くんが抱き着いて来た。

わたしが大きな声出しちゃったじゃん!

「佐湯くん…!?」

中途半端に立っていたから体勢を崩しそうになって、でもポカッと背中があったかくなった。

暖が背中を支えてくれた…
てゆーか暖が佐湯くんから引き離した、が正解かな。

「何してんだ、お前」

「何って…」

充電が終わった暖はポカポカして気持ちいい、でもそんな睨まなくてもよくない?

佐湯くんも困って…

「柑乃ちゃんが声出しちゃダメって言うから体で表現してみた」

え、そーゆうことだったの!?
わたしが言ったことさっそく守ってくれたのありがとう!?

「気安く触んなよ」