寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「あ、そーいえば暖!眠くないの?大丈夫!?」

昨日の夜、わたしと別れてからちゃんと家に帰れたのか気になっていた。教室でばいばいしたけど、あれからどうだったのかなって。

今日の朝もこうやって迎えに来てくれたけど大丈夫だったのかな…?

「寝たから」

「帰る途中で眠くなったりしなかった?」

「……あぁ」

「え、あぶなかった!?道端で寝たりしてないよね!?」

「道端では寝てねぇーけど…」

道端では寝てないけどなに?その続きは…

「学校で寝てた」

「えぇっ!?」

えーーーーーーっ 

学校で!?
ってことは帰ってないってこと!?

帰らずそのまま学校に…

「見付かってないよね!?それ大丈夫だったよね!?」

「……。」

「見付かったの!?」

「最悪見付かっても俺カイロだから」

「人間だってば!!」

なんでそこの意識低いの~~~~!

自分のこと充電式カイロと思い過ぎだよっ 

そうだけど!

「気を付けてよっ」

あのまま教室で寝てたんだ、見回りの先生とか来なかったのかな?
生徒はみんな体育館にいたからいいと思うけど…

「あ、それと」

「まだなにかあるの!?」

それもわたしのためだから、あんまり強くも言えなくて。

来てくれて、うれしかったし。


だから…


「佐湯が腹減って動けねぇって」


……。

佐湯くん?


「お湯は!?」

「もうなくなった」

「あげてよ!!」

「知らん、あいつのことは」



だから、ドキドキするこの気持ちに名前があるならー…



この手を離したくないな。