寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

さらに暖の力が入ってぎゅっと包み込まれる。

そんなこと言われても…


「柑乃をあたためるのが俺だから」


冬になると毎日持ち歩いてた。


どこへ行くのも一緒で、ないと不安で…

絶対なくさないようにってカイロを入れるポーチを買ったの。

糸のほつれはそれだけ持ち歩いてたから、いつもわたしが握りしめてたから。


「でもっ」

「だから大人しくこうしてろよ」

ここ学校だし、誰が見てるかわかんないし、もし見付かったら…っ

「…っ」


そんなことよりも、ドキドキして。

ドキドキが止まらなくて、どんどん加速していくみたいで。


暖の吐息に緊張するの。


ポカポカ感じる温もりよりも、わたしの方が熱くなっていくから。


びゅーびゅー風が拭いている。

たぶん外は寒いんだと思う。

でもそんなのわたしには関係なくて、ただ風の音が聞こえてるだけで… 


暖の胸の中があったかいから。



あったかくて気持ちよくてドキドキする、暖といるとドキドキする。

ずっとドキドキしてるの。




この気持ちに名前はあるのー…?