寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

勢いよく引き戻されたから、足がもたついて飛び込むように暖の胸の中に…

収まってしまった。


わ、何… 

え、これ…っ 



心臓がバクバクする…!



「暖っ、あの…っ」

ぎゅっと暖の腕に力が入る。
すぐさま離れようと思ったのに、気付けばすっぽり胸の中だった。

「ちょっと、暖っ」

「この方があったかいだろ?」

「あっ、たかい…けどっ」

すごいポカポカしてあったかい、けどっ 


なんかこれって、抱きしめられてるみたい…!


後ろからぎゅっとされて、暖の声も耳元に吐息がかかるくらい近くて。

心臓の音がもっとバクバクして、これ以上あっためられたらどうなっちゃうんだろうってくらい熱い…っ

真っ暗な教室に静かなベランダ、空を見れば星たちが輝いてる…

だけど正直そんなの見てられない、心臓の音がうるさくてドッドッドッて鼓動が聞こえる。

「暖っ、ここ学校だし…もし誰かに見付かったらどうするの?」

「他の奴らは屋上だろ?」

「でも誰に見られてるかわかんないじゃん!」

「つーか俺カイロだし」

「めっちゃ人間だよ!」

どこからどう見ても今の姿は!

だから…


これはただ男の子に抱きしめられてるー…


「いつも柑乃のそばには俺がいたじゃねぇか」