寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

真っ暗な教室は何も見えない、窓の外で光る街灯だけが唯一の明り。

だから、たぶんわたしの表情は暖には見えてないと思う。


見えなくてよかった、かも。

顔が、熱いから。



きっとこれは暖の温度のせいじゃない。



「じゃ星観察するか」

「え、観察ってどこで…!?」

ガラッとドアを開けた、ひゅーっと風が入って来たけど暖といるから寒くない。

暖に手を引かれ、ベランダの方へ踏み出した。

ベランダに出れば屋根もなくなって視界が開放的になる、だからー…

「わ、すごい星出てる…!」

星がよく見える次の日は天気がいいって言うけれど、きっと明日は晴れなんだってそんな星空だった。

「あ、スマホで調べたんだけど冬の星座を見つけるための目印は冬の大三角なんだって!それってどれかな?えっとノートに書いて来たんだよね、ノート…っ」

机に置きっぱなしだ!

取りに行こうとくるっと振り返って教室へ戻ろうと思った。

「おい、柑乃っ」

だけど、ぐいっと引き戻されたから。

「手離すな!俺から離れるな!」

「…っ」

あ…っ

つい興奮しちゃって、体が先に動いちゃった。

そうだ、暖と手離しちゃいけないんだった。


離しちゃ…

「!」