寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「柑乃!」

怖くてきゅぅっと目を閉じた時、あの声が聞こえてふわーっと体中にポカッと温もりが溢れた。

え、どうして…っ


「暖…!?」


手を掴んだから、引き寄せられるように暖の方へ。

「暖、電気が…っ」

真っ暗になって何も見えなくなった。
夜の学校は初めてで、誰もいないはずの教室なのに誰かいるんじゃないかってひやっとした空気を感じた。

もしかしてそれで電気が消えたのかな!?
停電が起きそうなことなんかなかったし、絶対それだ!

ここお化けがー…

「俺が消した」

「え?」

「見付かったら柑乃がうるさいから」

「えぇぇっ!?」

あまりにしれっと答えるから、ただ大きい声が出た。

確かにわたし霊感なんかちっともなかったけど!

「暖がやったの!?え、なんで、てゆーか…」

どうして電気を消したのか、見付かったらわたしが怒るからって。

それがわかってるなら…っ

「なんでここにいるの!?」

パッと掴まれた手を離した。

ひゅっと入って来る隙間風にぶるっと体が震える。


でも暖と手をつなでいる場合じゃないから!


「バレなきゃよくね?」

「そーゆう問題じゃないよ!」

そーゆう問題じゃない、だって学校だよ!?
みんな屋上で星の観察してるの!
たぶんほとんど遊んでるけどっ 

わたしが離してしまった手にゆっくり触れる。

瞬く間にポカッと温度が返って来る。

「そろそろ俺が欲しくなる頃かと思って?」