寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

ひょこっと体育館のドアからマーリーが呼びに来た。もうそろそろ行かないと間に合わなくなっちゃうから。

「あ、カンちゃん!星の観察まとめたらカンちゃんにも教えてあげるね、めっちゃノート取って来るから!」

「うん、ありがとうマーリー」

「だからつぐみん早く来てよ!」

「うん、行くけど…っ」

とんっとつぐみんの背中を押した。なかなか足が動かないでいるつぐみんの背中を。

「1人で平気、わたしも教室から見るから!」

ねっ、て笑って。

だってちょっとの間だし、1時間とか2時間とかそれくらいだもん。

教室で1人ってことは本読んでてもバレないし、黒板にラクガキもできちゃう!


そう思ったら案外すぐだよ?


きっとねー…



「……。」


…。


……。






うん、案外暇だったかも。




図書室まで本を借りにいくのはめんどくさくて、黒板に絵を描ける美的センスは持ち合わせてないわたしはぼけぇーっと自分の席に座ってるくらいしかやることがなかった。

スマホも持ち込み禁止だもし、あるのはノートとシャーペンだけ…



あれ、全然時計進んでないかも!

毎日の授業だって長いって思ってるのに、意味なく教室にいる時間全然すぐじゃなかった!


「…すぐ、とは思ってなかったけどね実際ね」