寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

寒いところが苦手なのちっちゃい頃から、アレルギーってやつらしい。

ずっと寒いところにいると体が冷えてポツポツじんましんが出てかゆいし、痛いし、しんどくて。
頭も痛くなって立っていられなくなっちゃう。

だから冬は外で遊べないし、常にモッコモコでなるべく肌を出さないように気を付けてる。

それでも風は入り込んで来るし、寒さに負けそうになる…


そんなわたしだから、クリスマスツリーなんて見に行けないの。

どれだけ憧れても絶対そこへは行けない、そんなの無理だってわかってるよ。


「さむ…っ」

やっと家着いた…!

パートに出てるママはまだ帰って来てなくて、リビングへは行かずそのまま階段を上がって自分の部屋へ。

もう寒くないけど冷えた手はかじかんで…
持ってくの忘れちゃったから、いつもは大事に手放さないようにしてるのに。

どうしてこんな日に忘れちゃったかな…!?

たぶん昨日の夜、充電したまま放置しちゃったんだ。
明日忘れないようにって、充電したまま…


わたしの肌身離さず持ってる充電式カイロ!!


あれがないとわたしー…


「……。」

ガチャッ、とドアを開けた。

自分の部屋なんだからノックなんかするわけない、突然開けても何の問題もないんだもん…


でもそこには知らない男の子がいたから。


「…っ!」

え… 


………誰??