寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

みんなに迷惑かけちゃうばっかりだから、わたしにできるのはこれくらいって…


そう思ってただけなんだけど。

たとえばわたしがくじで雑巾がけ係になってたら、誰かに変わってもらうことになったかもしれないし。


「柑乃さん、もう少しこちらへ」

一歩近付けば、ぶわーっと体に熱をまとうみたいに。

「温めて差し上げます」

緋太さんがにこっと笑えばさらに温度は上昇して、もう外だなんてこと感じないくらい熱い。

顔がどんどん火照っていく、緋太さんを見るとちょっと照れちゃうかも…

わざと髪を触るフリをして顔を隠しちゃった。

「ここは柑乃さんと僕だけの秘密の場所、ですよ」

人差し指を立てて唇にあてる。
しーっと息を吐いてにこっと微笑んで。

「何かあったらいつでも来てください」