寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

わたしの顔を見る目はまっすぐで、そんなこと言われるなんて思ってなかったから頬が熱くなって思わず下を向いちゃった。
セーターの匂いを嗅がれるより恥ずかしくて、変な感じ。

「…暖がいいならいいけど」

「おぅ、いいんだよこれで」

ずっとずっと持ってたから、わたしの匂いがついちゃってるかもしれない。

でもそれはそれだけ大事だったんだ、そのポーチも何度も洗っては繰り返し使うぐらい。


そんな気持ちが、暖にも伝わってるのかな。


「…やべぇ眠くなってきた」

「え、ここで!?」

まだ家までもう少し、ここまでスタスタ歩いて来たけど急に暖の足取りが重くなった。

眠くなってきたってことは電池切れだよね!?充電しなきゃってことだよね!?

「ふぁー…」

「えっ、もうちょっとがんばって!ここで寝ちゃダメだよっ、ほら走って!!」

今度はわたしがぐいっと暖の手を引っ張って、急いで駆け出した。


ここで電池が切れたら困る!

眠った暖を運んでいくのは無理だ!

とにかく走って家まで帰らなきゃっ!!!