寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

スッと差し出される、手のひらを空の方に向けてその上に手を置くようにとわたしに…

「帰るぞ」

キャーーーッと叫ぶ女の子たちの声はもはやBGMで、ドキドキと鳴るわたしの心臓の音なんてかすかなものかもしれない。

恥ずかしさとよくわからない緊張感に心臓が震えてるのに…
みんなが見てるのに暖の手の上に自分の手を重ねるとかできなっ

「柑乃っ」

「!」

ぐいっと引っ張られた。

オロオロするわたしを見かねた暖が強引に手を奪ってスタスタと歩き出す。

その瞬間冷たかった手も体もふわーっと温度を感じてポカッて頬までがあったかくなって。

後ろからはBGMが鳴り続けてるけどっ 
キャーキャーいう甲高い声立ちが全然鳴りやまないけど!


わぁーーーっ 
わたしまで叫びたくなっちゃうじゃん…!


少し顔を上げて暖の方を見ればそんなこと全く気にしない素振りで歩き続けてるし。

もう…っ!!!

暖からしたらカイロの役目なんだろうけど、わたしからしたらこーゆうのすごい気になっちゃうんだから…

「なんだよ?」

「…なんでもない」

でも別に、この手を離したいわけじゃなくて。

だって離したら寒いし!

ずっと暖に会いたいって思ってたし!


でもそれは…


アレルギーがひどくなっちゃうから、だよ?