寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

手を振る緋太さんにつられるように振り返し保健室から出る。

引き戸になってるドアが閉まる最後まで手を振っていた緋太さんは…
悪い人ではなさそうだよね、うんうん。

じゃあいっか…いや、いいのかな?

てゆーかここは学校、緋太さんのこと他の人は…


知ってるのかな?


「白雪さんっ」

ガラッとドアを閉めると霜月先生が駆け寄って来た。チャイムがなったから授業が終わってそのままここへ来たんだと思う。

「白雪さん、ちょっといいかな?今度の課外学習のことなんだけど…」

もうすぐ課外学習、うちの学校は毎年この寒い時期にあってスキーとかキャンプとかちなみにわたしたちの学年は…


「星の観察に決まったの」


星の観察!?
冬の星空はキレイだって言うよね、空気が澄んでるから空がクリアに見えるって!


「屋上から見るのよ」


しかも屋上なんて、普段は入れないのに!



だけど…


「白雪さんは不参加でいいかな?」


ただでさえ寒い12月、夜はもっと寒くなる。日は出てないし風は強いし、わたしが屋上から星の観察なんかできるわけなくて。

「学校に泊まっての観察だから泊まりは参加出来るからね、屋上は無理でも教室から見ることは可能よ」

わたしに与えられた選択肢はこれくらいなの。

でもそれもしょうがないから、できないことは諦めるしかなくてずっとそうやってきたんだ。


だからこれもそうするしかないの。


「…はい」