寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

そぉっと近付く、ただそれだけなのにぶわーっと手がポカポカして来た。手だけじゃない、体も緋太さんが近付いたところ全部がぶわっと熱を上げる。

電気ストーブだ、この当てた瞬間一気に熱くなるこの感覚はまぎれもなくそうだ。

「ね、温かくなってきたでしょ?」

くすっと声を漏らして、話し方も温かみを持ってる。ちょっと大人みたい。

「僕のそばにいればその赤くなった手もすぐ良くなりますよ」

「…ありがとう、ございます」

絶対もっと言うことあったはずなんだけど、緋太さんの余裕な姿勢にわたしまでおとなしくなってしまうかも。

だってじっとわたしの手を見つめて、ずっと愛しそうな瞳してるから…


な、なぜ!?
自分で言っといてわかんない!


「もう大丈夫ですよ、すっかり熱が戻って来ました」

「あ、ほんとだ!もう痛くない…」

かじかんでいた手が元に戻って赤みもなくなっていた。

「柑乃さんの手、大事にしてください」

…こ、この感じには戸惑うけど。

あの電気ストーブがこんな人とは…
どう答えたらいいのかわかんなくて、はいとしか言えなかった。

「またいつでも来て下さいね、待ってます」