寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

充電式カイロの暖と違って佐湯くんはお湯を入れて使う湯たんぽ、毎晩お湯を沸かして寝る時にふとんの中に入れて使う。
だから朝になるとお湯は冷めちゃうんだけど、そんな言い方しなくてもいいのにわたしはいつもいっぱい助けてもらってるんだから。

「佐湯くん大丈夫?」

横たわった佐湯くんの元へ、膝をついて体を起こしてあげようとそっと触れた。

「!」

冷たい…!

さっきよりも冷えちゃってる。

「佐湯くんっ」

「柑乃ちゃん…」

「大丈夫!?」

「お腹すいた~…」


……え?

お腹すいた?


そーいえばそう言って起きて来てたけど…

「お腹すいてうごっ…けないよぉ~…」

「あぁぁっ、待って!待って!何か持って来るからっ…えっと、パンとかでいい!?ご飯派!?どっちがっ」

「お湯だろ」

あわてるわたしの隣にスッと腰を下ろして今にも消えそうな声を出す佐湯くんをつんつんと突いた。
はぁってタメ息まで吐いて、めんどくさそうに…やっぱり暖と佐湯くんはあんまり仲良くなさそうかも。


…てゆーかお湯!!

そっか、湯たんぽだからお湯がご飯なんだ!!!


「佐湯くん待っててね、今キッチンから持って来るから!」

「ん~…」

「おい、柑乃!」

「え、なに!?」

次から次へと朝から何が起きてるのかパニックで、今度は何が起きたの!?

「学校はいいのか?」

「……。」

「もう時間やばくね?」

「行くよ!!!」