寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

ちょっと待って!
何それ、どーゆうこと…!?

わたしが抱きしめるって…

「ねぇ柑乃ちゃん」

うるんだ瞳でわたしを見てる。

きゅるんと大きな瞳はくまっていうかこぐま?ううん、もっと小さい子猫みたい。

「ぼくたちいつも一緒に寝てるもんね?」

「……。」

そんな目で見つめられても…

「それは湯たんぽだからね!?」

そこだけ切り取られると変な風に聞こえるじゃん!でも湯たんぽだから、それが正しい使用方法だから!

「柑乃ちゃん、だーいすきっ」

今度は私の方に、ぴょんっと飛びついてぎゅぅっと抱きしめる。


わ、あったか…


くない!ぬるい!

この感じ絶対わたしが毎日使ってる湯たんぽだ!


朝になるとぬるくて逆に私があっためてるみたいになってる、あれだ…!


「ぎゃっ」

思わずあっためてあげたくなって佐湯くんの背中に手を回そうと思った瞬間、佐湯くんが吹っ飛ばされていった。

暖に思いっきり蹴られて。

「何するの!?」

「湯たんぽは温めるのが役目だろ、効果のなくなった奴に価値はない」

「ひどい!そんなこと言わなくても、朝になったらお湯が冷めちゃうんだからしょがないでしょ!」